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Dancer to Dancer/大野大輔

「Dancer to Dancer」は、ダンサーによるダンサー紹介企画です。

 

今回のダンサー:大野大輔

紹介者:久保田小百合


 

バレエダンサーにとって必要不可欠な探求心。大輔さんは人一倍貪欲にクオリティを追求することができる人です。

パのひとつひとつ、脚の出し方や動きには必ず意味があり、どう踊りたいかという意識を常に明確にもっています。

 

ピーター・ライト版「ジゼル」ヒラリオン(2017年)

 

大輔さんとは、私が入団間もない頃から一緒に踊る機会が多く、まだまだ未熟だった私に体の使い方やパートナリングを手取り足取り教えてくれました。

既に海外のカンパニーで活躍していた経験をもつ彼の言葉の中には新しい発見が多く、プロとしての表現や体の使い方等、私のバレエに対する知識や考えを見つめ直す大きなきっかけをくれた人でもあります。

 

そんな彼との思い出の一つは、バランシン振付「フォー・テンペラメント」でテーマ1を踊った時のことです。

お互い表現したいことが細かすぎて、時に意見がぶつかることもありました。

でも、彼は必ず相手を理解しようとしてくれる。考えて次の日にはまた新しい提案をしてくれたり、意見を尊重してくれたり、一緒に高みを目指していける、そんなパートナーです。

その甲斐あってか「フォーテンペラメント」では終演後、指導に来ていたベン・ヒューズさんに「very good!」と声をかけてもらえ、厳しいベンがまさか褒めてくれるなんて!と、大輔さんと舞台上で喜んだ思い出があります。

 

 

フォー・テンペラメント(2013)©A.I Co.,Ltd.

 

 

一緒に踊っていない時でも、クラスやリハーサルを見てアドバイスをくれたりと、本当にバレエの知識が豊富な彼から学んだことは数え切れません。

 

近年では、鈴木稔版「くるみ割り人形」のアラビアを一緒に踊りましたが、当時私は元気で溌剌としたイメージが強く、あまりしっとりと大人な役を踊ることは少ない中での挑戦でした。でも、大輔さんが私と踊りたいと言ってくれたことをきっかけに、新境地を開拓することになり、彼のおかげでダンサーとして新しい表現を見つけることになったのです。

 

同じベクトルで作品に向かうことのできるパートナーに出会えるのは幸せなことです。数々の作品でこのような経験ができ、彼にはとても感謝しています。

常にバレエに対して真摯に向き合っている彼を、ダンサーとしてもパートナーとしてもとても尊敬しています。

 

プライベートではたわいもない会話をよくしますが、とにかく子煩悩!

子供の話をすると、いつもはキリっとした大輔さんの目尻が一瞬にして下がるのがとても印象的です。

 

そんな彼が演じるバレエ「ドラゴンクエスト」の伝説の勇者は今の彼にとってハマリ役だと思います。

年齢と経験を重ねたダンサーにしか出せない存在感と哀愁(笑)を、ぜひ劇場でお楽しみください。

 

バレエ「ドラゴンクエスト」伝説の勇者(2017)©Kiyonori Hasegawa

 

(文・久保田小百合)


「ハマリ役」と紹介されている大野演じるバレエ「ドラゴンクエスト」の伝説の勇者は、日生劇場公演富山公演でもご覧いただけます。ぜひお見逃しなく!

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