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キャストインタビュー【牧神の午後】喜入依里&東真帆&林田翔平

来週末開催の公演「The Concert」にて、「スコッチ・シンフォニー」とともに9年ぶりの上演となる「牧神の午後」。

コメディ・バレエ「コンサート」を手掛けたジェローム・ロビンスによる振付ですが、「コンサート」とは全くタイプの異なる本作。
登場するのは女ひとり、男ひとりのみ。
今回のキャストはオーディションで選ばれた喜入依里(23日)・東真帆(24日)・林田翔平です。

本作初挑戦となる3名に話をききました。

 


まず「牧神の午後」はどのような作品なのでしょう?
 

 客席側を鏡に見立てた稽古場で踊る一組の男女を描いた、ジェローム・ロビンス振付けの作品です。

喜入 鏡とバーだけがあるスタジオで、ふたりだけの時間が流れているんです。

 
客席側が鏡という設定で、視線も客席のほうに合わせることが多い作品ですよね。普段のレッスンやリハーサルでは鏡を見過ぎないようにされていると思いますが、この作品ではいつもと反対のことをしなければならない。
 

喜入 鏡を見ているように踊るとなると、不自然になってしまい苦戦しています。視線の使い方はもちろん、表情も分からなくなってしまいました。一番難しいのは、鏡越しにお互いを見るシーン。今はスタジオですが、広い劇場の空間では更に集中力が必要になるかなと思います。

 普段のレッスンで鏡を見るときは基本的に自分のことを確認していますが、鏡を通して相手を見ているとか、鏡の中で相手との目線が交錯している(見つめ合っている)状況を意識しながら踊ることは経験が無く、とても難しいです。
初めは鏡を見てリハーサルをしたのですが、鏡を見ないでリハーサルするようになってからは一層目線を意識しています。
本番の舞台では、お客様に向かって広い空間が広がりますが、1組の男女が鏡を見ながらお互いを意識し、心が触れ合っている様が伝わるように目線を更に考えたいです。

林田 普段のレッスンから鏡をあまり見ないようにしているので、空想の鏡越しで相手や自分を見るのはとても難しく、目線一つの難しさは日々感じています。

 
リハーサルが始まる前とキャスティングされてリハーサルが始まった後とで、作品への印象は変わりましたか?
 

 以前一度この作品を見たことがあったのですが、その時からいつか踊ってみたいと思っていました。美しい音楽にクラシックではあまりない動きやポーズがありとても印象的で。
作品の印象は変わっていませんが、今回この作品を踊らせていただけることを嬉しく思うと同時に、私が持ったその印象を表現出来るか不安に思いました。

林田 作品の印象が変わったということはないですが、リハーサルの初期からずっと考える事が山積みで。何をどういう風にしていくのか、自分は今何を感じているのか、何を見ているのか・・・を毎日考えています。

 
演技やマイムというよりは踊りで語る作品だと思いますが、難しいと感じる部分はありますか?
 

喜入 踊りで見せるということももちろんですが、自分自身の在り方に難しさを感じています。笑ってほしいわけでもないけど、気分で踊っていいわけではないし、表情をわざと作るのも求めてない、とベンさんはおっしゃっていて。言われている内容は理解できるのですが、いざ挑戦してみると表情や視線の使い方が本当に難しいです。
自分の中では、現実に置き換えてみて、スタジオで誰にも邪魔されず好きなように過ごす時間は幸せだと思います。そんな心地の良い気持ちをイメージするようにしています。

 私は演技やマイムなどの感情表現も苦手なのですが、踊りだけで表現するのは更に難しく感じます。ナチュラルな動きで、遠くの観客の方にも伝わるにはどうしたらいいかなど毎日考えています。

林田 演技やマイムにも同じ事が言えると思うのですが、視線がとても重要であり難しいところだと思います。
2人が見つめ合って、そこから視線をどこに向けるのか。踊りだけではなく、そういった細かい部分にも注目していただければと思います。

 
「この作品と言えばあのポーズ」というような、印象に残るリフトやポーズが多く思い浮かびますが、特に見せ場だと感じている場面はありますか?
 

喜入 有名なポーズはいくつかあると思いますが、踊っていて良いなと思う場面は、最初の方のシーンです。
冒頭それぞれだったふたりが鏡越しに初めて目が合い、一瞬時が止まります。そこからふたりの距離は近づき女性がリフトされます。その流れが音楽も美しくて、ふたりの間でなにか始まるような感じがして、好きなシーンです。
作品を通して、ふたりの間にある美しい何かが伝われば良いなと思います。

 私も同じシーンが好きです。最初は1人ずつスタジオに入ってきて、鏡で自分を見ながらストレッチしたり身なりを整えたりしているのですが、お互いに気がつく瞬間は、一目惚れするように時が一瞬止まっているように感じられて。
特にポーズをとっているわけではないのですが、そこから2人の間に緊張感が出てきて惹かれあっていっているようで、とても美しい瞬間です。

林田 見て欲しい場面はたくさんありすぎて・・・最初から最後まで目を離さず見ていただければ嬉しいなと思います。


 
最初から最後まで静かに美しい「牧神の午後」。ぜひ多くの方にご覧いただきたい作品です。

さて、公演は来週末。今週からは振付指導のベン・ヒューズさんとのリハーサルも再開し、本番に向けて毎日熱いリハーサルが行われています。
「コンサート」「スコッチ・シンフォニー」「牧神の午後」と、いずれも日本では上演機会の少ない作品を一度に観られるこの機会を、ぜひお見逃しなく!皆様のご来場を、心よりお待ちしています。

 
「The Concert」
2022年9月23日(金祝)・24日(土) 東京芸術劇場
チケット好評販売中!
公演情報はこちらから

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