ミストレス小山恵美に聞く「コンサート」
コンサートや舞台を観に行ったとき、こんな経験はありませんか?
“自分の席にほかの誰かが座っている”
“後ろの座席からガサゴソ音がして気が散ってしまう”
実はこれ、バレエ「コンサート」の作中で観られるシーンの一部。
作品の中では、劇場に行ったことがある人なら誰でも「わかる~!」とうなずいてしまう様々な“あるある”が展開されます。
バレエ作品において演技をすることはまったく珍しいことではありませんが、ここまで日常でもありえるようなリアルなシーンで演技をすることもそう多くはありません。
いつものバレエと一味違った演技力が求められる「コンサート」について、ミストレス小山恵美にききました。
まずはじめに、「コンサート」はどういった作品なのでしょう?
コンサートに来た人たち(個性的かつ、決して多くはないけれどよくいる人)それぞれのストーリーのようなバレエだと私は解釈しています。
倦怠期の夫婦や、シャイな男性、怒りっぽい女性って、特殊ではなく、よくいる人たちだと思います。
特に物語があるわけではありませんが、そんな彼らの、「よくあることではないけれど、起きうること」が描かれているのではないかと。
今回の上演が決まるまで、「コンサート」についてどのような印象をお持ちでしたか?
私はニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)が浦安のすごく大きいホールで来日公演をしたときに観たはずなのですが、当時バランシンに夢中だったことと、あまり見やすい劇場ではなかったので「おもしろい作品」という印象くらいであまりちゃんと覚えておらず・・・
私がNYに留学していた1996年は、NYCBの春のシーズンの全作品を観に行ったのですが、残念ながら「コンサート」は上演されませんでした。
今回も振付指導はベン・ヒューズさんです。キャスティングも実際に振りを踊ってみて決定するというスタイルでしたが、どういったところを特に見ていらっしゃった(重視していた)のでしょうか?
「キャラクターを表現できるか」
「演技過剰であってはいけない」
この2点です。演技過剰はロビンスが一番嫌ったとベンさんがポロリと口にしたこともありました。
キャラクターを表現しつつも、演技はあくまでも自然でなければならない。難しそうです。
日本語はとても繊細なので、日本語を話すときに大きな声も必要なければ大きなアクションも必要ありません。
なので基本的には日常生活での表現は控えめと言えるのではないかと思うのですが、そのために表現が細かくなりすぎて、劇場では不十分になってしまったり、逆に作りこみすぎて演技過剰になりやすいのかと思います。
ベンさんのお手本はとてもナチュラルなので、それを自分なりにマネする能力が必要ですね。マネできることは、その表現を理解する第1歩ですから。
なるほど。いつもの公演とはちがったダンサーの演技が注目ポイントになりそうですね。ありがとうございました!
今後「The Concert」出演ダンサーへのインタビューもお届けする予定です。お楽しみに!
「The Concert」
2022年9月23・24日
東京芸術劇場
チケット好評販売中!
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