今年5年目の上演となる鈴木稔版『くるみ割り人形』。その演出・振付を担当したバレエ団常任振付家の鈴木稔本人に、くるみ割り人形への想いや制作の裏話を聞きました。
ご自身にとって、バレエ『くるみ割り人形』はどんな作品なのでしょう?
実はすごく苦手な作品でした。笑
というのも現役ダンサーの時に1番沢山踊った作品で、海外にいた時は1日に何公演も踊らなければいけなかったため、カフェなどでくるみ割り人形の音楽が流れてるのも耳を塞ぎたくなるくらいでした。
ただ、色んな物語を知り色んなバージョンを観てきて、1番多く経験した事で思い入れはすごく変わってきています。今の鈴木稔版を作ったことにより更にそれが深まったような気がします。
鈴木版の代名詞ともいえる雪のシーン。コンテンポラリーの要素を取り入れたアクロバティックな技巧が繰り出されます。
クリスマスの特別な思い出などがあれば教えて下さい。
今はイベントなどが増えて多様化していますが、私の子供時代は家族で過ごすクリスマス、というのが一般的だったと思います。私も家族とケーキを食べてワイワイ楽しかった思い出があります。
5年前に『くるみ割り人形』の新制作が決まった時、どんな所からヒントやインスピレーションを得ましたか?
クリスマスには、どんな家にもそれぞれ何か小さな良い事や奇跡が起こってもいいんじゃないか?というところから、まずは裕福な家じゃなきゃできないような家の中でのパーティーシーンはやめようと考えました。
そこで、ドイツにいた頃に見たクリスマスマーケットに家族で行き楽しんでる街の風景を思い出し、そこからディックさん(※)や総監督と話し合いを重ね徐々に作っていきました。
※舞台美術を担当する英国人デザイナーのディック・バード。鈴木版くるみ割り人形を作るにあたって初めて協働し、以降SDBの短縮版「白鳥の湖」「くるみ割り人形」や今年4月に上演した「迷子の青虫さん」の舞台美術も担当している。
中央で指示を与える鈴木。クリスマス・マーケットの様子については前回のブログをご覧ください。
今年5年目を迎える『くるみ割り人形』。公演の見どころは?
まずは今年初めて王子役をする加藤大和(12月24日に王子役で出演)。その他にもキャストが大分入れ替わり、色々なものが初演と比べて良い形に熟成してきているので、毎年観て頂いてる方にも今年初めて観て頂く方にも色々な見方で楽しんで頂けると思います。
最後に読者へのメッセージをお願いします。
毎年キャストにも振り付けにも手を加え、ちょっとしたサプライズも考えているので、クリスマスと言えば毎年恒例のスターダンサーズ・バレエ団の『くるみ割り人形』を観に行こう!!と、劇場に足を運んで頂けたら嬉しいです。
初めて観る方はもちろん観たことがある方も、“今年だけ”の「くるみ割り人形」を楽しんでいただきたいですね。
いよいよ今月の上演となった「くるみ割り人形」。
心温まるクリスマスの物語をどうぞお楽しみに!